銭湯は今の私が安心して全裸になることができる自分の部屋以外の数少ない場所です。いろいろな妄想をしながら私は遠くの銭湯に行きました。車の助手席には大きな紙袋、中にはお風呂道具が入っています。わざわざ、車で普通の銭湯に行く人がどれだけいるものでしょうか。
 近所の銭湯だって、私にとっては知らない銭湯です。そこに知り合いなどいるはずのない銭湯です。それなのに、わざわざ遠くまで来ると、より知らない銭湯に思えてきます。不思議な感覚です。その町に住んで銭湯に来ている人が「どうしてこんな見かけない女が銭湯にいるの」と、そんなことを思って私を見るのではないか、と感じてしまうのです。わざわざ遠くまで来るということは、変態に違いないと思われているような錯覚もあります。
 そんな不安を抱きながら銭湯に入りました。いつもの銭湯と同じように、あまり人はいませんでした。夜の十時ぐらいでした。おばあさんと、太った女の人が二人、そして男の子がいました。
 私はかるく身体を流して三つある湯舟の端に入りました。すると洗い場をウロウロしていた男の子がやって来ました。身長はすでに私より少し低い程度でした。もしかしたら小学校の高学年では、と思ったのですが、子供を持ったことのない私には、子供の年齢のことはよく分かりませんでした。
 オチンチンは小さく、そして、先がすこしねじれているように見えました。大人のオチンチンを見慣れている私には、小さなものでした。
 彼は、私がつかる湯舟に足を入れ、つかることはせずに、私のほうを向いて立っています。まるで私にオチンチンを見せつけているかのようです。オチンチンはちょうど私の目の前なのです。そのまま彼は、オチンチンの上のおへその下あたりに手を添え、オチンチンを上下に揺らしたのです。私の小指ぐらいのオチンチンは彼が手を離しても、しばらく上下に揺れました。彼がそれを無意識にやっているのか、私に見せつけているのかは分かりませんでした。
 ただ、そうしていると、小さなオチンチンは小さいなりに大きくなって行くのです。驚きました。私の小指程度のものが、しっかりと上を向いて起立したのです。オチンチンが立つという意味がそのとき始めて分かったような気がしました。
 でも、彼はそれ以上に何かをしようとすることもせず、そうした行為に飽きたのか、今度は水道の蛇口を悪戯し始めました。起立したオチンチンはすぐに元の大きさにもどりました。
 不思議な光景でした。

 プチ痴漢体験だったような気もします。
 番台が外で、掃除のおじさんもいませんでしたから、私が妄想していたようなことは何もありませんでした。それでも、やっぱり銭湯ってエッチなところなんだって思いました。男の人もやっぱり銭湯に入って来る女の子のアソコに興味もったりするものなのでしょうか。それとも、男とか女にかかわらず、私ぐらいなのでしょうか、そんな光景に興味を持ってしまうのは。